二死満塁
半分だけ食べた味付けゆで卵を投げ捨て、宗男の落ちた土手に急ぐげんさん。
草をかき分け宗男の落ちた場所に行くと、そこには小さいブルーシートの下に偶然ベニヤ板とブルーシートがあった。
周りには使いふるされたヤカンや空き缶、明らかに最近まで誰かが住んでいたのだろう。
その上に非常階段のマークのように横たわる宗男。
げんさんが、慌てて脈を計ると、まだかすかにある。
『誰かー!!誰かー!?』
河川敷を見回し、マウンテンバイクで通り過ぎる人も気付かず、遠くでランニングをしている人も、イヤホンをして届かない。
げんさんは慌てて宗男のポケットをまさぐり、宗男の嫁らしきフィリピン人と赤ちゃんの、家族3人笑顔のプリクラが貼られた携帯を取り出しだ。
げんさんは、一瞬それを見て、急いで119を慣れない手付きながら押した。
『はぃ119です。どうなされましたか?』
げんさん
『あ、あの!早く!河川敷です!人が‥ぁいや‥』
『落ち着いて下さい。冷静に周りを見渡して、ゆっくり状況と場所を正確にお願いします。』
げんさんは息を荒げながらも、宗男を見て言った
『人が‥
‥いや。
人を‥
突き落としてしまいました。
続く。。
コメント一覧