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二死満塁

2011

《本編》ピッ‥ピッ‥ピッ‥と心電図の音。



真っ暗の暗闇からゆっくり、そしてぼんやり視界が広がると、そこには給食当番のようなビニールの被り物に白衣を着て、マスクをして覗いている。


医者、看護師さん達、めぐるの父、母、そして

天然パーマで大柄な、日系ブラジル人(元3番・ショート、チームの首位打者)

ゴンザタンバリン太郎(通称ゴンザ)

が、こちらを覗き混んでた。


左を向くと、めぐるの体に繋がる点滴やチューブみたいな物が何本も繋がられ、奥には大好きなひまわりのカレンダーがぼんやり見えた。











めぐるの父は『起きたか?おかえり、おかえり』と、めぐるの頬を震える手で触りながら涙を流し、母はその場で泣き崩れた。。。


ゴンザは『ワー(T0T)メグールゥ~メグールゥ~信ジラレナイYo!』と泣きわめくと



そこに周助がガラガラっと、息を切らせて入ってきた。




10年ぶりの再会。





周助

『‥』



めぐるは、ゆっくりと周助に視線を向けると

『‥しゅう‥ひゃん?』


まだ声がうまく出せない状態の中、必死にかすれ声をパクパク振り絞った。



周助は右手をぎこちなく上げ

『‥おぅ。‥‥久しぶり。』




めぐる

『・・・』




周助

『・・・』







《とある花屋》



元9番ライトの宗男が携帯で話をしていた。

『うん。い、家で食べるよ。‥うん。‥す、すいまません。‥‥うん。ネ、ネギと卵ね。は、はい。』




そこにひまわりの花束を持って来た店員が


『はぃお待たせしました。3500円になりますね♪』









宗男は携帯をおさえながら、申し訳なさそうに

『あ、あの‥や、やっぱりこっちの‥ちち小さいやつにしても、い、いいですか?』



店員さん

『はい大丈夫ですよ。』


宗男は財布を覗き

『あ、あの!やっぱり、もっと小さい、こ、これで!』

と、小さい小鉢を持ち上げ奥に向かう店員さんに言った。





その花屋の後ろを一台の軽自動車が通り過ぎる。




軽自動車は角を曲がり病院の前に止まると、周助がやってきた。



ピッピッ!とクラクションを鳴らし周助が近付くと、軽自動車の運転席から
(元5番・ファースト・チーム1のパワーヒッター)

通称、にくまんが顔を出し

『うす!周ちゃん元気?てか、めぐるが目を醒ましたって本当なの!?こんなウソみたいな話が‥』


周助
『も、いいから早くしろよ太ったデブ。』



にくまん

『太ったデブ。てダブルパンチやめてくれる?』


周助
『いいから、ゴンザももぅ来てんぞ?で、荷物って何だよ?』


にくまん
『後ろ後ろ♪』




周助
『‥。おぃ。。なんだょこれ。』









にくまん
『お酒とビールサーバー♪家から持ってきたんだ♪実家が酒屋って、こういう祝い事の時こそ』



周助

『お前バカか?飲めるわけねーべよ!』


にくまん
『いや、俺達みんなで飲むんだよ!』



周助
『そーゆー問題じゃねーだべや!どこの病院で宴してるヤツらを見た事があんだよ!?しかもお前運転じゃねーか!』


にくまん

『ふっふっ♪そー来ると思って、なんと!ノンアルコールビールでーす!!』


周助

『ぁじゃ大丈夫か♪て、なるワケねーだろバカっ!!早く車置いて来い!!』





続く。。

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