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二死満塁

2011

ボサボサな頭にキャップをかぶった周助が、家を出てママチャリに股がり病院に向かう。











海辺から路地に入り、何軒か続く小さな商店街も走り過ぎると、その1つの小さな電気屋のショウウィンドウに置かれたテレビに流れる高校野球。














~10年前~


横浜スタジアム


マウンドには高校球児の周助(18)胸に、横須賀と書かれたユニフォーム。


『かっ飛ばせー』と『あと1球!あと1球!』


の声が入り交じっているスタジアム。



実況アナウンサー


『さぁ激戦区、神奈川県予選決勝の終盤!凄い事になりました!!9回の裏、2アウト満塁、カウントは2ー3、ピッチャーの宮下投手がここを踏ん張り、公立横須賀高校が名門横浜高校の春夏連覇を阻止して初優勝なるか!?はたまた横浜高校が意地を見せるのか!?その差はたったの1点!!』




解説
『いやぁ本当にここまで来ると、どちらが勝ちたいかという気持ちの戦いですね!押さえれば横須賀の優勝。1打出れば2塁ランナーも足がありますから、横浜の逆転。お互い悔いだけは残してほしくないですね。』




横須賀高校ナインやベンチにいるマネージャーのめぐる


『周ちゃん落ち着いて、おもいっきり行け!!』


『周助かましたれ!』


『こっちに打たせろこのやろー!!』


『俺達に任せろ!』




などの声が3万人の歓声とブラスバンドでかき消される。




初老の横須賀高校監督の、げんさんが周助にニコっと笑い頷く。




肩で息をするマウンド上のピッチャー周助も、それを見て。



フーッと息を吐き、帽子のつばの裏の文字を見てセットに入る。




実況アナウンサー
『この1球で決まるのか!?バッター松沢に第6球‥‥‥投ぁげたー!!』







カっキーン!!!!











歓声と悲鳴とともに1つの打球を見上げる3万人。


周助含むナイン、

めぐる、監督のげんさん、

相手バッター松沢

相手ベンチ、ランナー。






実況アナウンサー
『打ったぁー!!打球は高くライトへ!!』







追いかける横須賀高校ライトの宗男。







周助

『宗男ぉー!!』






宗男

ハァっハァっハァっハァ




実況アナウンサー

『打球を追うライト!!フェンス手前で‥足が‥止まった!止まった!!』




宗男

ハァハァ‥


ドっクン、ドっクンっ





実況アナウンサー


『落下地点に入った!!優勝を掴み捕るかー!?』






ボールが空高くから、どんどん近付いて来る。





汗だくの宗男

『来る。来る。来る。』

ハァハァハァハァ

ドクンっドクンっ







ボールがどんどん大きくなり

『来る。来る。ゆ、優勝。優勝。捕る。捕る。捕らなきゃ‥』






画面が‥黒くなる











タイトル






●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●《二死満塁》●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●


続く。。

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