二死満塁
《めぐるの病室》
めぐるの母が買い物に行き、代わりに周助が窓際にある花瓶の水を変えている。
めぐる
『明日から車椅子なら少し外出していいって。』
周助
『そっか、良かったなー!』
めぐる
『その花が枯れるまでは生きれるかな。。私』
振り向き周助
『な、何言ってんだよ(笑)当たり前だろ!?』
めぐる
『もぅ‥自分で分かってるんだ。』
周助『‥え?』
めぐる
『なんで私だけこうなんだろ(笑)?‥何かしたかな?一番の夢の甲子園まで見届けられなくて‥』
微笑みながら泣き出すめぐるに、周助が花瓶を置きながら言った。
『‥お前だけじゃねーよ。俺だって、誰だって、いつどうやって試合が終わるかなんて分かんねー。』
すると後ろから
『延長戦もあるしね‥』
振り向くめぐると周助。
そこにはジャージに松葉杖姿の宗男が立っていた。
周助
『お前‥来るなって‥』
宗男
『ごめん。』
めぐる
『宗男‥君?どうしたのそのかっこ?』
周助
『こいつこの前、か、階段から落ちたらしくて‥』
宗男
『約束を守れてないのは僕達もなんだ。』
めぐる『?』
~10年前~
実況アナウンサー
『ライトが落下地点に入ったー!!優勝を掴みとるかー!?』
宗男
ハァハァハァ
『来る来る来る。オ、オーライ、オーライ』
近付いてくるボール。
パシッ!!!!!!
実況アナウンサー
『と、捕ったー!!!!横須賀高校初優勝ー!!甲子園出場を決めたミラクルナイン!!』
沸き上がる3万人の横浜スタジアム。
マウンド上でもみくちゃになるナイン。
盛り上がりながら周助がベンチを見ると、めぐるとげんさんがいなくなっている。
周助
『?』
翌日、地元新聞、スポーツ誌、号外などの見出し
『横須賀高校、甲子園初出場!!』『史上初神奈川ミラクルナイン!』『常勝横浜、春夏連覇ならず!』『たった9人で!!』
など取材も殺到。町中も大盛り上りで祝われるナイン。
その日の祝賀会が体育館で終わり、帰り道。
めぐるが気になり浮かない顔のナイン。
『じゃあな。』『おう』
と別れた同じ帰り道の
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宗男【元9番ライト・チーム1の努力家】
(今は借金などで橋から飛び降り未遂するが、元監督げんさんが身代わりに。げんさんの気持ちや、家族を思うと、どうすればいいか分からない日々)
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浩一、【元8番サード・チーム1のガッツマン】
(父が警視庁のトップで、超エリートコースを歩み、今は皮肉にも、げんさんの事件を担当)
キリ、【元1番センター・チーム1の俊足、盗塁王】
(野球推薦も断られそのまま就職。今は宅急便の仕事で、妻と子供を養っている。)
宗男
『めぐるちゃん大丈夫かな?』
キリ
『あいつは絶対大丈夫だよ。』
浩一
『ああ。』
などと3人で一緒に帰っていると。
『ガチン!!』
宗男『ぐわっ!!』と倒れ込み右肩を掴みながら、のたうち回る宗男。
振り向くと隣の高校ヤンキー3人がバットを担いで立っていた。
ヤンキーのボス、鬼山が
『お前ら‥調子んのり過ぎ。』
キリ、痛がる宗男を見て
『テンメぇー!!!!』
続く。。
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