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二死満塁

2011
緊急手術室に運ばれるめぐる。

父、母

『しっかりして!めぐる!めぐる!』
看護師さんも走りストレッチャーで運びながら呼び掛ける

『矢野さーん!矢野さーん!』



苦しそうなめぐる。






そうとは知らず、隣の棟の喫煙所で手紙を読んでいる周助


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拝啓宗男様

夏も終わりに差し掛かりここの窓からの夕日が秋を感じさせます。

ここからは一元教師としてのご無礼をお許し下さい。
宗男よ、この度は償いきれぬ程の事を君にしたと思う。

その憤りを生きる糧として前に進んでほしくペンをとりました。

宗男は昔から本当に優しく、逆にその優しさが、時に気持ちを伝える事を苦手にさせてたね。


でもいいかい?人には伝えなくてはいけない事と、伝えないと分からない事がたくさんあるんだ。

君は1人じゃない。

君に何があり、君の全てはずっと誰にも分からない。ただ分かろうとする事は誰でもできる。


私は君たちの学生時代、今でもあれで良かったのか。もっと助けられたのではないか。と後悔の念にかられる日々だ。


だから余計に思うんだ。


今しかやれない事がある。

君も夫となり、親となり前に進んでいる中、いくら君に貸しているお金があるとはいえ、君を突き落としてしまった事をしっかりと塀の中で、償い君の未来を願う。

だから宗男、あのお金はもう君のお金だ。

私ももうこの歳だ。妻も身寄りももういない。

もし、私が塀の中で息をひきとった時はこれを遺言書としてくれ。




そして最後に勝手ながら





生かされてる喜びを感じ、1日1日を生きてくれ。




小倉げん


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固まる周助

『‥なんだょこれ。』


嗚咽を吐いて泣いてる宗男

『‥お、送られてきたんだ。違うんだ。僕が‥僕が‥』






周助

『‥。』





宗男

『‥きっと誰かに読まれたり、さ、裁判で僕が不利にならないようにメッセージを‥。ぼ、僕どうしたらいいのか‥‥』






周助

『‥。』



続く。。

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