二死満塁
緊急手術室に運ばれるめぐる。
父、母
『しっかりして!めぐる!めぐる!』
看護師さんも走りストレッチャーで運びながら呼び掛ける
『矢野さーん!矢野さーん!』
苦しそうなめぐる。
そうとは知らず、隣の棟の喫煙所で手紙を読んでいる周助
============
拝啓宗男様
夏も終わりに差し掛かりここの窓からの夕日が秋を感じさせます。
ここからは一元教師としてのご無礼をお許し下さい。
宗男よ、この度は償いきれぬ程の事を君にしたと思う。
その憤りを生きる糧として前に進んでほしくペンをとりました。
宗男は昔から本当に優しく、逆にその優しさが、時に気持ちを伝える事を苦手にさせてたね。
でもいいかい?人には伝えなくてはいけない事と、伝えないと分からない事がたくさんあるんだ。
君は1人じゃない。
君に何があり、君の全てはずっと誰にも分からない。ただ分かろうとする事は誰でもできる。
私は君たちの学生時代、今でもあれで良かったのか。もっと助けられたのではないか。と後悔の念にかられる日々だ。
だから余計に思うんだ。
今しかやれない事がある。
君も夫となり、親となり前に進んでいる中、いくら君に貸しているお金があるとはいえ、君を突き落としてしまった事をしっかりと塀の中で、償い君の未来を願う。
だから宗男、あのお金はもう君のお金だ。
私ももうこの歳だ。妻も身寄りももういない。
もし、私が塀の中で息をひきとった時はこれを遺言書としてくれ。
そして最後に勝手ながら
生かされてる喜びを感じ、1日1日を生きてくれ。
小倉げん
============
固まる周助
『‥なんだょこれ。』
嗚咽を吐いて泣いてる宗男
『‥お、送られてきたんだ。違うんだ。僕が‥僕が‥』
周助
『‥。』
宗男
『‥きっと誰かに読まれたり、さ、裁判で僕が不利にならないようにメッセージを‥。ぼ、僕どうしたらいいのか‥‥』
周助
『‥。』
続く。。
父、母
『しっかりして!めぐる!めぐる!』
看護師さんも走りストレッチャーで運びながら呼び掛ける
『矢野さーん!矢野さーん!』
苦しそうなめぐる。
そうとは知らず、隣の棟の喫煙所で手紙を読んでいる周助
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拝啓宗男様
夏も終わりに差し掛かりここの窓からの夕日が秋を感じさせます。
ここからは一元教師としてのご無礼をお許し下さい。
宗男よ、この度は償いきれぬ程の事を君にしたと思う。
その憤りを生きる糧として前に進んでほしくペンをとりました。
宗男は昔から本当に優しく、逆にその優しさが、時に気持ちを伝える事を苦手にさせてたね。
でもいいかい?人には伝えなくてはいけない事と、伝えないと分からない事がたくさんあるんだ。
君は1人じゃない。
君に何があり、君の全てはずっと誰にも分からない。ただ分かろうとする事は誰でもできる。
私は君たちの学生時代、今でもあれで良かったのか。もっと助けられたのではないか。と後悔の念にかられる日々だ。
だから余計に思うんだ。
今しかやれない事がある。
君も夫となり、親となり前に進んでいる中、いくら君に貸しているお金があるとはいえ、君を突き落としてしまった事をしっかりと塀の中で、償い君の未来を願う。
だから宗男、あのお金はもう君のお金だ。
私ももうこの歳だ。妻も身寄りももういない。
もし、私が塀の中で息をひきとった時はこれを遺言書としてくれ。
そして最後に勝手ながら
生かされてる喜びを感じ、1日1日を生きてくれ。
小倉げん
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固まる周助
『‥なんだょこれ。』
嗚咽を吐いて泣いてる宗男
『‥お、送られてきたんだ。違うんだ。僕が‥僕が‥』
周助
『‥。』
宗男
『‥きっと誰かに読まれたり、さ、裁判で僕が不利にならないようにメッセージを‥。ぼ、僕どうしたらいいのか‥‥』
周助
『‥。』
続く。。
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